育児休業等期間中の賞与にかかる社会保険料免除について

育児休業等期間中の賞与にかかる社会保険料免除について

2024年4月8日 | We willグループ

社会保険労務士法人We willの中村です。
至るところに花々が咲き新芽が芽吹き、春の訪れに喜びを感じる今日この頃ですね。

さて、事業所等にお勤めの方の社会保障制度の1つに
「育児休業等期間中の社会保険料の免除」のルールがあります。
(社会保険料:健康保険と厚生年金の保険料)

このルールは、少子化対策の一環として
男女ともに仕事と育児の両立ができるよう
柔軟な育児休業等の取得の促進を目的としており
保険料を払わずとも将来受け取る年金給付の額に反映されるしくみです。
このルールについて、令和4年10月に要件の見直しがなされました。

今回はその中でも「育児休業等期間中の賞与にかかる社会保険料免除」
につきましてご案内いたします。

賞与にかかる社会保険料は、
「賞与を支払った月の末日を含んだ連続した1か月を超える育児休業等
を取得した場合」に免除されます

この場合の「1か月を超える」とは、
民法に定められている歴による期間の計算を用います。

(暦による期間の計算)
① 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
② 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、
最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。
ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、
最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する
    (参照:e-Gov 民法 143条)

文章では難しいので、具体例をみていきましょう。

ケース①:3/1-3/31に育児休業等取得、3月に賞与支給
    →この場合、「ちょうど1か月」の育児休業等であるため
3月の賞与にかかる保険料は免除されない

ケース②:3/15-4/15に育児休業等取得、3月に賞与支給
    →この場合、1か月+1日となり「1か月を超える」ため
3月の賞与にかかる保険料は免除される
     (②の休業期間で賞与支給月が4月の場合
末日を含んでいないため4月の賞与にかかる保険料は免除されない)

ケース③:3/31-4/30に育児休業等取得、3月に賞与支給
    →この場合、最後の月に応答する日がなく
     (4/31がない)
4/30で「ちょうど1カ月」となるため
3月の賞与にかかる保険料は免除されない
     (3/31-5/1の育児休業等であれば
賞与支給月が3月でも4月でも賞与にかかる保険料は免除される)

改正前は、その月の末日に育児休業を取得している場合は、
当該月に支払われる賞与にかかる社会保険料が免除される仕組みになっていました。
このため、例えば⽉末1⽇だけ育児休業を取得した場合でも、
当該月に支払われる賞与にかかる社会保険料が免除されることがありました。
このような形での取得は、制度の趣旨や公平性などの点から
問題があると考えられたため、改正に至りました。

今回は育児休業等期間中の「賞与にかかる社会保険料免除」についてご案内しました。
毎月の「お給料にかかる社会保険料免除」のルールについては
違った期間計算のルールが定められていますので
ご相談などありましたらお待ちしております。
また、育児や介護と仕事の両立を支援する社会保障制度がまとめられている
下記のリンクもご参照ください。
https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kouseinenkin.files/ikuji.pdf
(参照:厚生労働省:「育児・介護休業等をする方を経済的に支援します」)

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