裁量労働制のルールが変わります

裁量労働制のルールが変わります

2024年3月25日 | We willグループ

2024年3月18日に入社しました、社会保険労務士法人We willの霜田です。

2024年4月より裁量労働制のルールが変わることをご存じですか?

裁量労働制とは、業務の性質上その遂行方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務について、実労働時間にかかわらず、労使協定や労使委員会の決議で定められた時間数労働したとみなす制度です。
裁量労働制には2種類あります。
1)「専門業務型(以下、専門型)」: 対象業務が具体的に挙げられている。業務の遂行方法、時間配分の決定などについて使用者が具体的に指示することが困難なもの。
2)「企画業務型(以下、企画型)」:事業の運営に関する企画、立案、調査、分析の業務。その遂行方法を労働者の裁量に大幅にゆだねる必要のあるもの。

この裁量労働制、4月から下記のようにルールが変わります。

●対象業務の追加
これまで19業種が指定されていた「専門型」の業務に、新たに
「銀行又は証券会社における顧客の合併及び買収に関する調査又は分析及びこれに基づく合併及び買収に関する考案及び助言の業務」(M&Aアドバイザリー業務)
が加わります。
具体的な該当業務は「施行通達」2~3頁をご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/001130316.pdf

●本人同意が必須に
「専門型」は労使協定にて、「企画型」は労使委員会の決議事項にて、これまでの事項に加え次の点を追加で定めることとなります。
【「専門型」(労使協定)】
・制度適用にあたり労働者本人から同意を得ること
・制度適用に同意しなかった場合も、不利益な取り扱いをしないこと
・同意の撤回の手続き
【「企画型」(労使委員会の決議事項)】
・同意撤回の手続き
・対象労働者に適用される賃金・評価制度を変更する際、労使委員会に変更内容を説明すること

そのうえで、「専門型」「企画型」ともに対象労働者に次の点を説明し、本人が納得したうえで同意することがポイントとなります。
1)事業場における裁量労働制の概要(対象業務の内容をはじめとする協定・決議の内容など)
2)同意した場合、適用される賃金・評価制度の内容
3)同意しなかった場合の配置・処遇

●「健康・福祉確保措置」の拡充
これまで「企画型」にのみ求められていた「健康・福祉確保措置」ですが、「専門型」も対象となります。1~4の措置、5~10の措置をそれぞれ1つずつ以上行うことが望まれます。

【A.事業場の適用労働者全員を対象とするもの】
1)終業から次の始業までの一定時間以上の休息期間(勤務間インターバル)をもうける
2)深夜業(22~5時)の回数を1か月で一定回数以内とする
3)労働時間が一定を超えた際の適用解除
4)連続した年休取得

【B.個々の適用労働者の状況に応じて講ずるもの】
5)医師の面接指導
6)代償休日・特別休暇の付与
7)健康診断実施
8)心とからだの相談窓口の設置
9)必要に応じた配置転換
10)産業医等による助言・指導や保健指導
※1、2、3、5は新規追加

長時間労働に陥るケースや、実質裁量のない労働者も適用されるケースも見られたため、今回の見直しとなりました。
裁量労働制は導入要件が厳格に定められているため、「導入手続きがよくわからない」「勤怠管理はどうしたら?」などお困りの際はご相談ください。

参考:厚生労働省「裁量労働制 継続・導入には新たな手続きが必要です」
https://www.mhlw.go.jp/content/001080850.pdf

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