社会保険労務士法人Wewill労務事務局です。
2026年は、労務・社会保険分野において複数の制度見直しや政策的な流れが想定され、
企業の人事・労務体制に影響が生じる可能性があります。
本記事では、2026年に向けて押さえておきたい制度面のテーマを整理します。
1 社会保険制度の適用拡大(短時間労働者への対応)
社会保険の適用範囲は段階的に拡大しており、パート・アルバイトなど短時間労働者に対する加入要件が見直されてきました。
2026年も以下の点が引き続き注目されます。
・企業規模要件の見直し
・週の所定労働時間要件の解釈整理
・実態と労契内容の整合性の確保
短時間労働者が多い業態(小売・飲食・介護・医療など)は特に影響を受けやすく、加入対象者の増加による企業負担(保険料)や説明義務が課題になります。
2 賃金・評価制度の見直し
人材確保難・最低賃金上昇・人的資本経営といった外部要因を背景に、賃金制度・評価制度を再設計する企業が増えています。2026年もこの傾向は継続する可能性が高いと考えられます。
特に影響が見られるのは以下の領域です。
・基本給水準の見直し
・等級制度・評価制度の透明性向上
・手当体系の整理(役職手当・固定残業など)
・労働市場に合わせた処遇バランスの調整
また、上場企業では人的資本開示が義務化され、中小企業にも採用市場経由で波及してきています。応募者が企業情報を比較できる環境により、明確な処遇制度の存在が採用競争力に直結しつつあります。
3 注意したい労務リスク分野
(1)ハラスメント対応の「手続の適正」が問われる段階へ
措置義務が全企業に適用後、運用基準が着目されるフェーズに入ります。
求められる対応例
・相談窓口の機能強化
・説明責任・記録の適正化
・就業規則・マニュアルの整備
・外部専門家との連携(弁護士・社労士 など)
制度が形骸化している企業もまだ多く、今後は訴訟リスクとの接点も増えやすい領域です。
(2)メンタルヘルス・休職復職支援の整備
精神疾患に関する労災認定件数は増加傾向にあり、産業医体制の強化と併せて次のような整備が求められると考えます。
・休職・復職ルールの明文化
・業務制限や職場配置の調整
・健康情報の取り扱い手続
・産業医面談の連携(一定規模以上)
・復職判断の基準が曖昧なまま戻すと現場負荷やトラブルの原因になるため、制度設計が企業防衛の観点でも重要になります。
4 助成金制度との連動
制度の見直しは助成金政策とも関連しており、傾向として以下の項目が継続強化されることが予想されます。
☆ 正社員転換支援(キャリアアップ関連)
☆ 賃金改善(処遇改善)
☆ 人材育成・研修(リスキリング)
助成金は「制度対応 × 資金確保」を同時に実現できるため、制度改正のタイミングで活用検討する企業様が増えています。
労務・社会保険制度は毎年のように見直しが行われますが、2026年は特に「運用面の適正」が注目される年になる可能性があります。
制度対応は早期に情報を押さえ、必要に応じて社労士と連携しながら進めることで企業リスクを下げられます。