社会保険労務士法人We will事務局です。
2025年の通常国会で成立した改正労働施策総合推進法により、2026年中に「カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)」対策が、すべての企業に義務付けられることになりました。
この改正の目的は、顧客や取引先による暴言や威圧的な態度、過度な要求などから働く人を守り、安心して働ける環境を整えることにあります。厚生労働省の調査では、職場の相談の中でセクハラ、パワハラに次いで多いのがカスハラです。これまで「お客様の言うことだから仕方ない」とされてきた対応を見直し、従業員の尊厳と安全を守ることが企業の責任となります。
対象は企業規模を問わずすべての事業主で、正社員だけでなくパートやアルバイトも含まれます。企業には、従業員の相談に対応する体制の整備・周知、不当な言動を抑止・防止するための事業主の方針等の周知・啓発、発生後の迅速かつ適切な対応や抑止のための措置が義務付けられ、相談した従業員への不利益取扱いも禁止されています。研修の実施や他社との協力は努力義務です。
まず取り組むべきは、会社としての方針を明確にすることです。最近では「カスタマーハラスメントに関する基本方針」を公表し、「従業員への暴言や威圧的な行為はお断りします」と明示する企業も増えています。こうした姿勢は従業員の安心につながるだけでなく、誠実な顧客との信頼関係を築くうえでも効果的です。
社内での周知や研修も欠かせません。正当なクレームとカスハラの違いを理解させ、「一人で対応しない」「上司や相談窓口に報告する」といった対応を徹底します。万が一発生した場合は、迅速な事実確認と被害者へのケアを最優先に行い、再発防止策を講じる体制を整えましょう。
これらの取り組みは法令遵守にとどまらず、従業員の安心感を高め、離職防止や顧客対応力の向上につながります。カスハラ対策の義務化は、信頼される職場づくりの好機です。法施行までに方針や体制の準備を進めていくことが重要です。
当法人では、方針策定や就業規則の整備など、実務的な支援を行っています。自社の現状に合った対策を検討される際は、ぜひご相談ください。