回は、両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)についてのご案内いたします。
両立支援等助成金の不妊治療両立支援コースをご存知でしょうか。
当該コースは不妊治療と仕事の両立を支援するために、企業が職場環境の整備に取り組み、不妊治療両立支援プランの策定・実施することで助成を受けられる制度です。
不妊治療に利用可能な休暇制度や両立支援制度を導入し、従業員に利用させた中小企業事業主が対象となります。
実際、令和5年度の「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」では、「両立している(していた)」は55.3%
「両立できずに仕事を辞めた」は10.9%
「両立できず不妊治療をやめた」は7.8%
「両立できずに雇用形態を変えた」は7.4%
となっています。困難を感じる理由として、
通院回数の多さ、精神面での負担の大きさ、通院と仕事の日程調整の難しさがあります。
また、治療を受けていることを職場に知られたくない労働者もおり、職場内で不妊治療に対する認識が十分に浸透していないことが課題となっています。
従って、不妊治療を受けながら安心して働き続けられる職場環境の整備が求められます。
しかし、不妊治療だけが課題ではありません。「女性特有の健康課題」にも向き合っていく必要があります。不妊治療両立支援コースの要件が見直されるためです。
厚生労働省は令和7年度より「不妊治療および女性の健康課題対応両立支援コース(仮称)」を新設すると発表しました。
これまでは不妊治療の支援に特化していましたが、新コースでは
・更年期の心身の不調
・月経困難症
といった女性特有の健康課題にも対応する企業も助成対象となる予定です。
女性特有の健康課題は従業員の方だけではなく事業主の方にとっても重要な問題です。
不妊治療を含む女性の健康課題が労働生産性の低下や離職、キャリア形成の阻害要因となり、企業の損失につながると考えられています。
しかし、これらの健康課題について適切な治療などの対処を行うことで、企業の人材確保や生産性向上につながります。また、経済産業省の調査によると、適切な対処を行うことで、社会全体で年間約2兆円の経済効果が期待されるとされています。
少子高齢化が進む中、企業は女性が安心して働ける環境を整え、離職を防ぐことが求められています。健康課題をサポートすることは、企業の持続的な成長にもつながる重要な取り組みです。
新コースの詳細は正式発表後に改めてご案内いたします。
両立支援等助成金をはじめ、助成金制度にご質問等がございましたら、お気軽にご相談ください。