社会保険労務士法人Wewill労務事務局です。
精神疾患に悩む人々の数は増加傾向にあり、
その対策が社会的に重要な課題となっています。
こうした状況の中で、企業が採用選考の際に精神疾患の
既往歴を確認することは可能でしょうか。
この点について、厚生労働省の「公正な選考をめざして」という
パンフレットによれば、次のような点が挙げられています
・過去の病歴が現在の業務を遂行する適正・能力の判断には
直接結びつかないこと
・完治していて就労に問題がない場合でも病気等の
社会的なイメージで不採用となる可能性があること
・企業が適正配置というつもりで確認していても、
質問をされることにより、不採用とされてしまうのではないか
という不安を生じさせること
これらの理由から、就職差別につながる可能性があるため、企業は採用選考に際して配慮する必要があります。
しかし、企業には採用の自由が保障されており、
応募者に対する調査を行うことも認められています。
採用選考時に確認する際の注意事項として、
労働契約では応募者が求められる労務を提供できるか
確認する必要があり、そのために精神疾患の既往歴を
把握することは必要な範囲で可能です。
ただし、不必要にプライバシーを侵害しないよう配慮が必要です。
特に病歴は個人情報保護法で要配慮個人情報とされ、
本人の同意なしに取得できません。また、精神疾患の病名は
誤解や偏見を招きやすいため、慎重な取扱いが求められます。
そのため、精神疾患の既往歴を確認する際は、
業務の目的を達成するために必要な範囲で行い、
応募者には目的を説明し、「答えたくなければ答えなくても良い」と
前置きした上で任意に回答を求めるのが適切です。
質問等ございましたら、お気軽にご連絡ください。
公正な採用選考をめざして
https://jsite.mhlw.go.jp/shimane-roudoukyoku/content/contents/001271827.pdf