非常時の休業手当

非常時の休業手当

2023年8月22日 | We willグループ

社会保険労務士法人We willの平野です。

8月も終わりに近づいていますが、まだまだ台風が上陸する可能性の高い時期ですね。
今回は、台風接近時の会社の対応と賃金の支払いについてまとめてみます。

台風が接近した際には、会社が休業しないケースと休業するケースがあります。
それぞれに、賃金等の支払いが必要か確認してみましょう。

会社が休業指示を出さない場合
一般的にこのケースが多いと思われます。
公共交通機関が運休し従業員が出勤できない場合は、従業員の欠勤となり、賃金の支払いは不要です。また、休業手当(平均賃金の6割以上)の支払いも不要です。
運休ほどではないにしろ、公共交通機関に遅延等が生じた結果、従業員の判断で欠勤した場合も同様です。
その他、従業員が自分の意思で欠勤する場合も同様に扱われます。
ただし、従業員個人の判断で出勤しない場合には、有給休暇を使用するケースが多いと思いますので、その場合には通常の賃金の支払いが必要になります。

台風により、会社から休業の指示を出した場合
従業員へ休業指示を出す一般的なケースでは、休業手当の支払いが必要となります。
しかし、台風の影響で会社の施設や設備が直接的な被害を受ける場合は、これを不可抗力とみなし、休業手当の支払いは不要となります。

不可抗力とは、次の2つの要件を満たすものです。
①その原因が事業の外部より発生した事故であること
②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること

休業手当とは、会社の都合によって休業させた従業員に対して支払う手当です。
労働基準法により、休業手当の金額は「平均賃金の6割以上」と定められています。
平均賃金の計算は、原則として、休業開始日直前の3か月間の賃金総額÷その3か月の総歴日数で求められます。計算には例外もあるため注意が必要です。

以上となります。

台風の影響での労働者の賃金支払いは、休業指示の有無や状況によって異なります。
労働者の保護と会社の状況をバランス良く考慮しながら、適切な対応を取ることが求められます。

休業手当の計算等、ご不明な点がありましたら、弊社までご相談ください。

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