法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて

法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて

2026年3月30日 | We willグループ

社会保険労務士法人We will事務局です。

厚生労働省は、令和8年3月18日付で、法人の役員である個人事業主等に係る健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取扱いについて、新たな通知を発出しました。今回の通知は、社会保険料の削減を謳い、個人事業主やフリーランス等を法人の役員とし、健康保険等の被保険者資格を届け出る一方で、会費等と称して役員報酬を上回る額を支払わせている事業所が存在していることを踏まえ、その取扱いを明確化したものです。通知では、このようなケースについて、本来国民健康保険及び国民年金の適用を受けるべき者が、通常よりも低い保険料で健康保険等の適用を受けている可能性があるとしています。

法人の役員については、従前から、
①その業務が実態において法人の経営に対する参画を内容とする経常的な労務の提供であるか
②その報酬が当該業務の対価として当該法人より経常的に支払いを受けるものであるかを基準として、実態を踏まえ総合的に判断することとされていました。今回の通知でもこの考え方は維持されており、そのうえで、一定の場合には健康保険等の適用はないと判断することが明示されています。

例えば、役員会等に出席していても、役員への連絡調整や職員への指揮監督に従事していない場合や、求めに応じて意見を述べるにとどまる場合は、経営参画を内容とする経常的な労務の提供には当たらない例とされています。また、個人事業主等についても、アンケート回答や勉強会参加などの自己研さん、単なる活動報告や情報共有、事業紹介への協力等にとどまるものは、原則としてこれに当たらないとされています。

また、報酬面では、役員会等への出席報酬、旅費などの実費弁償的な支払い、退職手当は、業務の対価としての経常的な支払いには当たらないとされています。さらに、個人事業主等が法人に対して役員報酬を上回る額の会費等を支払っている場合は、原則として、業務の対価としての経常的な支払いがあるものとは認められないとされています。

実務上は、指揮命令権を有する職員がいるか、決裁権を有する所管業務があるか、役員間の取りまとめや代表者への報告業務があるか、定期的な会議への出席頻度やそれ以外の業務・出勤頻度がどうなっているか、といった点を整理しておくことが有用です。
法人役員に係る社会保険の適用は、形式ではなく実態に基づいて判断されます。個人事業主等を役員として取り扱っている場合には、登記や名目上の報酬のみではなく、経営参画を内容とする経常的な労務の提供があるか、その対価として経常的な報酬の支払いがあるかという点を、あらためて確認しておくことが重要です。

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