社会保険労務士法人Wewill労務事務局です。
今回は、毎月実施されている「労働力調査」の結果から、若年層の完全失業率について取り上げます。
2025年3月の統計によると、全体の完全失業率は2.6%であるのに対し、若者(15~24歳)の失業率は3.4%と、依然として高い水準にあります。この傾向は、調査が開始された1980年代から一貫して続いており、若年層の失業率は常に全体平均を上回ってきました。近年、やや改善の兆しも見えていますが、その格差はなお解消されていません。
慢性的な人手不足に悩む企業が多い中、働き手となり得る若者が十分に活用されていない現状は、非常にもったいないと言えるのではないでしょうか。
なぜ若者の失業率が高いのか、その一つは定着率の低さが上げられます。令和5年若年者雇用実態調査で初めて勤務した会社で現在も働いているかどうかの調査がされました。
在学していない若年労働者が初めて勤務した会社で現在も働いているかどうかについてみると、「勤務している」が55.5%、「勤務していない」が42.7%となっています。
また初めて勤務した会社をやめた理由(3つまでの複数回答)についてみると、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が28.5%、「人間関係がよくなかった」が26.4%、「賃金の条件がよくなかった」が21.8%、「仕事が自分に合わない」が21.7%の順となっています。
この結果を見ると若者が労働条件や職場環境が主な離職の原因であり、これらを見直すことで若者の定着率を上げることができると推測されます。
具体的な取り組み例としては、以下のようなものが考えられます。
・フレックスタイム制や時差出勤など、柔軟な労働時間制度の導入
・年次有給休暇の取得促進
・ハラスメント防止の徹底
・教育・研修制度の整備(キャリアアップ支援など)
・若者の声を反映できる職場風土の醸成
これらの取り組みは、単なる制度整備にとどまらず、企業の魅力を発信するうえで重要な要素となります。
さらに、こうした施策を実施しやすくするために、国の助成金制度も活用できます。
・働き方改革推進支援助成金(厚生労働省)
中小企業が労働時間の改善や職場環境の整備(勤怠システムの導入等)を行う際に支給される助成金です。
・ キャリアアップ助成金(正社員化コース など)
非正規社員を正社員へ転換した場合などに助成される制度で、若年層の非正規労働者の活用・定着にもつながります。
また、「ユースエール認定企業」への認定を受けることで、若年層人材の確保に有利な広報支援も受けられます。認定されると、厚生労働省のウェブサイトに掲載されたり、認定企業限定の就職面接会などへの参加が可能となるため、若年求職者への認知度向上が期待できます。
人材不足が深刻化するなかで、若者が安心して長く働ける職場づくりは、企業にとって大きな課題であると同時に、大きなチャンスでもあります。助成金制度や認定制度を上手に活用しながら、貴社の働き方改革を進めてみませんか?
今後も当法人では、こうした実務に役立つ情報をわかりやすくお届けし、皆様の事業運営を全力でサポートしてまいります。