近年、労働力人口の減少や多様な人材活用の必要性が高まる中、男女間の賃金格差解消は避けて通れない課題です。日本における女性労働者の賃金水準は、男性の約75%(令和5年)となっており、これは国際的に見ても大きな格差となっています。
背景には、女性の管理職登用率の低さや平均勤続年数の短さといった、構造的な要因が根強く存在しています。
厚生労働省は「民間企業における女性活躍促進事業」の一環として、企業の課題を可視化する「男女間賃金差異分析ツール」を公開しましたのでご紹介いたします。
このツールは、自社の男女間賃金差異をはじめとする労務管理の基本データを同業種・同従業員規模の企業平均データと比較することで、自社の女性活躍に関する強みや課題を明らかにするほか、男女間の賃金差異が生じる要因に応じて、雇用管理の改善に向けた具体的なアドバイスを得ることができます。
ツールを活用することで、企業における「課題タイプ」が見えてきます。例えば、
タイプ①:女性採用比率が低い
→ 募集・採用基準や社内設備の見直し、女性向けPR強化が必要。
タイプ②:女性の継続就業が困難
→ 両立支援制度(育児・介護等)の整備、職場風土の改善が必要。
タイプ③:女性管理職が少ない
→ キャリア支援や昇進要件の透明化、人事評価制度の整備が必要。
女性活躍推進法では、従業員101人以上の企業に対し、行動計画の策定と公表が義務づけられています(301人以上は賃金差異の公表も必須)。
本ツールの分析結果は、行動計画の具体的な数値目標や取組内容の根拠資料としても活用できます。
このツールは、企業が自社の現状を客観的に把握し、的確な改善策を講じるうえで有効な手段です。ぜひ積極的にご活用いただき、女性活躍の推進と公正な職場環境の整備にお役立てください。